ゴーストライター請負います

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佐村河内という人の記者会見がおこなわれたことで、世間ではひと月前の発覚時と同じようにゴーストライター問題が盛り上がっているようだ。

さらに、漫画家の佐藤秀峰さんが堀江貴文さんの小説に関して、わーわー言っていたりして、本来潜っているはずのゴーストライターが、無理やり表舞台で息をさせられている、なんて光景が見られるわけである。

堀江貴文氏「拝金」の代筆問題について:少年 佐藤秀峰:佐藤秀峰チャンネル(佐藤秀峰) – ニコニコチャンネル:エンタメ

小説なんてものは自分で書いたほうがいいんだろうけど、ゴーストライターという役割が根を下ろしている出版界においては、そのシステムが消えることはないだろう。

だいたいゴーストライターを使わなくとも、編集者が代筆したり文章の手直しをしたり、誰かが取材してきたネタをアンカーが記事として起こしたり、本というものができあがっていく過程には一般の人からみたら「代筆」と思われるようなことが、あちこちでおこなわれている。

それらの作業のどこからどこまでを著者の仕事の領分以外とするのか、本が共同作業でつくられていくものである以上、判断は難しいところである。

もっとも、Kindle(Amazon) などに代表される電子出版においては、すべてを個人ですますということが、これから増えていくのだろうが、その世界にだってすでにゴーストライターはいる。

身も蓋もないことを言ってしまえば、もともと文章を書くことをしてこなかった有名人が本を出したときには、たいていゴーストライターの存在があるんじゃないのかな。そして、それは多くの人が想像できていたことだ。今更騒ぐほどのことでもない。

芸能人、有名な経営者、ビジネス本などはその確率が高いだろう。

そのゴーストライター。mojoもやったことがある。専門ではないので、多くは書いていないけど、おそらく20冊ぐらいは手がけた。

どんな人の本を書いたのか。当然、タイトルも著者名も言えないが、とある会社の社長さんによる経営本をはじめ、某建築家、児童教育の専門家、障害者のための機器を製作しているエンジニア、それからコンサルタント本もあったな。これは書きにくかった。

それらの本はどうやって書くのか?

本当にそれぞれだ。ある程度、本っぽく内容を書いてくる人もいれば、すべてインタビューですます人もいる。中にはA4のレポート用紙1枚に各章の内容を数行だけ書いてあり、それを見せて「これで書いてくれる?」と言われたものもある。

いくらなんでもそれで200ページは書けないので、インタビューを重ねて書くことにしたのだが、なかなか要領を得なくて苦労したのを覚えている。

版元によってやり方が違うのだろうが、ゴースト本の場合には当然のことながら著者確認をする。mojoの場合は1章書くごとに確認をとり、編集者をまじえて話しあって修正を繰り返すという方法がおもだった。

なぜ全部書いてからではないのかというと、全部書いてしまってから「イメージとぜんぜん違うよ」なんてことを言われかねないからだ。1章ごとならまだ引き返せる。

そうやって著者(本を出す人ね)のイメージと徐々にすりあわせていくわけだ。

意外と内容をほぼ「まるなげ」してくる著者のほうが自由に書かせてくれそうで、実は書きたいことが明確になっていないために苦労することが多い。

そんなこんなで本ができあがる。本は基本的にゴースト本じゃなくても、編集者や営業、デザイナー、ライターと軍団でつくっていくものなので、やっている作業は結局同じだ。

違うのはゴーストライターの名前が奥付にクレジットされないことぐらいか。

しかし、それを近頃の風潮でゴーストライター=バナメイエビみたいになって、クレジットしなければならない! などとなっていっても困る。こっちは商売あがったりだからやめてくれ。

ゴーストライターはゴーストらしく、代筆したことをばらすなんて無粋なことはしないから、どうぞ安心して仕事の依頼をしてほしい。なんちゃって。

コメント

  1. bolacha より:

    本によっては奥付に「編集協力」などと表示されてたり、あとがきに「ライターの○○さんの協力に感謝します」とか書かれてたりすることがありますね。ビジネス本や実用書などにゴーストがいるのはわかるし、堀江さんのビジネス本の何冊かは佐々木俊尚さんがゴーストやったことがあると明らかにしてますが、小説の場合は文学的な表現の独自性に価値が置かれているでしょうから、そこまでゴーストを認めていいかってことだと思うんですね。
    そういえばモデルのナオミ・キャンベルも自作として発表した小説を、後になってゴーストライターに書かせたと本人が告白して騒ぎになったことがありました。どちらも最初から欲張らないで原作とか原案にしておけばよかったんでしょうけど、やっちゃったなーという気がします。

  2. mojo より:

    △bolachaさん
    確かに編集協力などでクレジットされている場合はありますね。

    そして小説に関しては僕も少し触れましたが、やはり小説という形で出版したいのなら、自分で書いたほうがよろしかろう、と思います。ビジネス本とは線引きがされるべきでしょう。

    それに、小説を書いた→ゴーストライターだったなんてことになったら、カッコ悪いですから。

  3. bolacha より:

    “ゴースト”っていうのがよろしくないイメージですよね。ブックライターとかそれに代わる名称があればいいかもしれません。慣例だったとはいえ、今後は奥付に併記する流れになるかもしれません。ゴーストが表に出て、ライターの仕事の価値が認められるきっかけになればいいなとは思います。
    なんせ、今回の件でいちばんショックだったのは「文章のプロでなくても、本一冊くらい書ける」と普通に考えられてることでした。書いてみやがれー。笑

  4. mojo より:

    確かにゴーストってのはネガティブなイメージがありますね。

    出版界内部でもゴーストライターの評価が適正でないところもありますから、ブックライターなんて名前に変更するのはいいかも!

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