朝食を食べていると、前回と今回執刀してくれたT先生が顔を出してくれた。
「ご飯も食べられるようになってきたね。その調子なら、もう退院できるはずだけどね」
さらに朝食後、外科の傷チームがやってきて、昨日抜いたドレンの跡をカバーしていたガーゼを外していった。その時、
「あれっ、今日退院だっけ?」
なんて言われて、
「いや、聞いてないっすよ」
とmojo。うーん、先生たちの間では着々と退院の話が進んでいるのかなぁ。
朝10時、レントゲンを撮りに行って帰ってくると、担当医のN先生が一週間の休暇から復帰していた。
「レントゲンで肺がつぶれているところがあるので気になって……」
ということで病室にて簡易エコーの検査。でも心配していた水が出たのではなかったため、ひと安心。相変わらず咳がでるのは気になるが、痛みもピークよりはマシになってきたから回復に向かっているのだろう。
午後、看護師がやってきて、
「何か不安などありませんか? 心理士のカウンセリングを受けてみますか?」
と言う。えっ、なんで? と思っていると、
「mojoさんのように短期間で何度も大きな手術をやったり、救急車で運ばれるような事態になった人は、けっこう心に傷を残すことが多いんです。それで退院前に不安があるようならカウンセリングを受けてもらおうと思って」
と看護師。なるほど、そういうことってあるかもなぁ。
とは思ったものの、実は本人にはあまり不安や恐怖みたいなものがない。いや、今のところないってだけなのかも知れない。意外と病院を出たら、救急車で運ばれたときのことや手術のことなどを思い出して怖くなるのかも知れない。
「でも、今のところわりと平静なんですよね」
と言うと、
「そうですね、見ていてもあまり不安がっていませんものね。じゃあ、とりあえずカウンセリングはなしということで。でも、受けたくなったらいつでも言って下さいね」
そう言い残して看護師は病室から出て行った。実はカウンセリングの話を聞くまでそういうことについては考えてもみなかった、というのが正直なところ。でも、確かに不安や恐怖心みたいなものは出てきてもおかしくないよな、と思う。
タオルやシャンプーを小さなバッグに詰め、シャワーを浴びるための準備をしながら、なんだかあれこれ考えてしまった。
コメント
長女がまた肝臓が炎症していてその膿を外に出すためにドレーンをお腹と首と2箇所入れてます。彼女は現在カウンセラーを受けています。いずれ臓器移植ということになるのでやはり精神的に不安定になってますね。現代のトップアスリートには必ずといっていいほどカウンセラーが付いていると思えば気が楽になります。日本人のわたしにはこれまで抵抗がありましたが。人間の心の中はそんなに強靱なものではないですね。
△【篠の風】さん
ブログ読みました。娘さん、ご心配ですね。炎症がおさまってくれるとよいのですが。
カウンセリングは同室の若者が受けていました。彼は6ヶ月入院してせっかく退院したのに、また1ヶ月で逆戻ってきたため、そうとう落ち込んでいましたね。先日外来で病院に行ったので顔を出したら、まだ入院していたので話し相手になってきました。
日本の病院もカウンセリングが普通におこなわれるようになってきたんだなぁ、と感心しました。10年前の入院時には見かけませんでしたから。