心臓エコー検査2012冬

検査が終わらない!

タイトル通り、心臓エコー検査に行ってきた。まあ、慣れた検査なので検査室に通されると、さっさと上半身裸になり、小さなベッドに横になる。

数カ所、信号を得るための器具をペタペタと貼られ、検査が始まった。

「息を吐いて〜、そこでちょっと止めてくださ〜い」

なんて指示に従いながら検査は順調に進んでいると思ったのだが、ここからが地獄だった。途中で今日は長いな、とは思っていたんだけど、通常なら20分か長くても30分ぐらいで終わる検査が、ぜんぜん終わらないのだ。

こうなると、これでもかっていうぐらい気の小さいmojoは、「あれっ、心臓が悪くなってるのかな。何か見つかったのかな」と不安になる。

さらに、いつもはあまりグリグリされないノドのあたりを入念に調べられるにいたっては、甲状腺か? いやノドになにか悪いものでも見つかったのかと、さらに不安になる。

次に検査機が調べ始めたのはお腹だ。とくに胃の上部を中心にグリグリしている。それがときどきヘソのあたりにまで下がる。

ちょ、ちょっと心臓エコー検査なんですけど……。

すでに心の中は半泣きだ。お腹か? お腹にもなにか見えるのか? そうか、胆嚢だ。前にCTで胆石が見つかったもの。それが悪化したのか、それとも胆嚢じたいが悪いのか?

もう疑心暗鬼である。そして検査が始まって40分ほど経過した頃、医師の口からさらに決定的な台詞が吐かれる。

ダブル・チェック

「ダブル・チェックしますので、ちょっと待ってくさい」

ダ、ダブルチェックって? 見立てに確信が持てないから、違う医師をまじえて再確認するってことじゃないか。

ふと部屋の入り口を見ると、医師が増えていた。あう……。

この段階でかなりあきらめた。いや、ホント。まあ、最低でも手術はあるな、と。ついでにいろいろな心配が頭の中を駆け巡る。ものによっては病院を探さなきゃ。家族になんて説明しよう。また心配させちゃうな。

今、抱えている本どうしようかな。入院までに書ききれるかな。バンドも困ったな。ライブ、1回ぐらいできるかな。

まあ、落ち込んだ。検査室の小さなベッドの上で、交代した年配の医師に再びあちこちグリグリされながら、本気であれこれ考えた。

でも、頭の中で心配がバクハツしそうだったので、とりあえず聞いたのだ。蚊の鳴くような声で。

「あの〜、どこか悪いんでしょうか?」

すると医師は答えた。

「いや、ちょっと見えにくいものですから苦労して……」

見えにくい? それだけ? いや、本当はそうじゃないんだろう? もはや医師の言葉も信じられない。

「ここは見えるでしょ。ほら、ここもいいじゃない。で、ここが……ゴニョゴニョ」

聞こえなーい! 医師同士が確認するようになんか言ってるけど、大切なところが聞こえない。

きっとよからぬ話でもしているんだろうと思いつつ、首をねじ曲げてモニターを見上げるが、mojoにそこに映し出されているものがいい状態なのかどうなのかなどわかるはずもない。

診察室へ、担当医のもとへ

そうこうしているうちに、長い時間お疲れ様でした、と解放された。時計を見ると検査が始まってから1時間近く経っていた。

それから待つこと十数分。担当医から診察室に入るよう呼ばれた。いよいよ、なのか? なにか言われるのか?

ビクビクしながら診察室に入っていったmojoに担当医が言ったのは、

「最近寒いけど大丈夫?」

という思いきり肩すかしな言葉。

「あ、はい、大丈夫ッス」

mojoも思わず答えてしまう。すると、担当医はサラリとこう言った。

「心エコーも問題なかったわよ。前回と変わりなし」

えっ、そうなの。じゃあ、あのダブル・チェックってのはなんだったわけ?

「で、でもずいぶん時間がかかったし、どこか悪いのかと」
「そうね、私もやけに長いなと思ったのよ。新人でごめんなさい」
「えっ、じゃあダブル・チェックって、たんに上の先生に確認してもらったってことっスか。新人先生が不安で?」
「そうそう、そういうこと」

 あうあう……。なんだよ、それならそうと言ってくれよ。いや、まあ若い医師を育てるのに協力するのはやぶさかじゃないけど、あの恐怖の時間はもう体験したくないぞ。

 いやあ、それにしても久しぶりで相当ビビった。小心者なので検査を受けるときは大なり小なりビビるんだけど、こんなに超ド級なのは久しぶりだ。

 まあ、いいよ。今回はビビっただけで済んだんだから。

 それにしても人間の覚悟なんて本当に危ういものだな、とあらためて思った。検査も手術もいくつかくぐり抜けて、多少は受け止める力がついたような気はしても、実際はぜんぜんイケてなかったのだ。

 明日はわからない、なんてことは何度も見聞きして、自分でも体験してきたのにな。

コメント

  1. 「最後はきっと終わり良し」だと思いながら読み進みましたが、さすが読むものを引っ張りますね。(^_^) 
    緊迫の1時間、ご苦労様でした。

  2. mojo より:

    △【篠の風】さん

     コメントありがとうございます。まあ、ホントにまずかったら、なかなか気楽には書けないですよね(笑)

     それにしても今回ばかりは本気で青くなりました。何事もなくてよかったです。

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