さよなら父ちゃん15 1年でも2年でも……

朝、父ちゃんが戻しそうになるが、何も出ず。食べてもいないのに気持ち悪くなり、そして何も出ないのはかわいそう。少しでも出ればスッキリしそうだが。

午後1時、訪問医療の医師がやってきて少し話す。

「この状態だと、おそらく数週間でガクッと来ると思います。月曜日あたりに病院に戻したほうがいいかも知れません」

と言われる。でも、僕らはできるだけ家で看たいと考えている。医師は、月曜日に往診に来るので、その時にまたどうするか話し合いましょうと言った。

先生が帰ったあと、父ちゃんが娘に向かって、

「嫁にも出さず、世話をさせてすまなかったねえ」
と言った。今日はなんだか部屋がしんみりとして泣けてくる。

少し経ってから訪問看護師がやってきた。昨日と同じ若い看護師で、今の会社に入る前は大学病院で働いていただと教えてくれた。

若くて明るく、テキパキと父ちゃんの世話をしてくれるので、僕らもなんとなく元気が出てくる。父ちゃんの体調も朝よりよくなった。

夕方、トイレに流せるお尻拭きなど介護用品を少し仕入れに出かけ、家でうどんを食べて夕食とする。

夜、父ちゃんがポツリポツリと語りだした。

「病気なのに、こんなに幸せだと思うことはないよ」

「Mちゃん(娘)に守られてるから、この年までやってこれたんだよ」

「生きてる限り、自分にだってできることはあるだろうから、迷惑ばかりかけるかも知れないけれど、一年でも二年でも頑張る」

僕らはうん、うんと頷く。頑張ろう、父ちゃん。

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